離婚・親権

2021/11/23離婚・親権

協議離婚と国際離婚

質問 夫婦の双方あるいは一方が外国人である場合に日本で協議離婚ができますか?

回答 日本法が適用される場合は、協議離婚が可能です。ただし、日本での協議離婚は、海外では認証されない場合があります。

 

協議離婚は、当事者間で離婚の合意をし、当事者双方と証人二人が署名した協議離婚届を夫婦(夫婦の一方のみが日本国籍の場合は、日本人の配偶者)の本籍地または所在地の市区役所に提出することにより離婚をする方法です。

 

夫婦の一方ないし双方が外国籍であっても、本国で婚姻の届け出をしていない場合は、日本でのみ離婚の効力が認められればよいでしょう。しかし、外国籍配偶者の本国で婚姻の届出をしており、本国においても離婚を有効としたい場合は注意が必要です。

 

離婚の成立や方式について、どの国の法律が適用されるかは、法の適用に関する通則法が定めています(質問「国際離婚と準拠法」を参照)。

 –夫婦の一方が日本に居住する日本人である場合は、協議離婚ができます(法の適用に関する通則法25条、27条)。

-夫婦双方が外国籍の場合で、かつ双方が同じ国籍であれば、当該本国法で協議離婚が認められていれば可能です(法の適用に関する通則法25条、27条)。

-当事者双方が外国籍の場合で、双方が異なる国籍である場合は、夫婦の常居地法が、そのいずれの法律もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法律の定めによります。

  

協議離婚は、日本独自の離婚方式であり、当事者の合意による協議離婚を認めず、裁判離婚など裁判所の関与を条件としている国もあります。また例えばフィリピンなど「離婚」それ自体を認めない国もあります(ただし、外国で有効に成立した離婚は、フィリピンでも認証される取り扱いのようです)。その場合、日本では協議離婚により、離婚が有効に成立したとしても、日本での離婚の効力が本国では認めらない場合があります。 

本国では協議離婚を認めていない場合でも、戸籍謄本など日本で離婚が成立したことの公的証拠があれば、本国でも日本での離婚を認証してくれる場合もあります。

 一方、協議離婚の方式は認めず、調停、審判、裁判など日本の裁判手続を利用した離婚でなければ日本で成立した離婚を認証しない国もあります。 

日本と海外の双方で婚姻の登録をしている場合は、日本での協議離婚の効力が本国でも認証され、効力が認められるか、事前に確認をすることをお勧めします。

 

また夫婦双方で離婚その他の条件について合意ができている場合は、離婚合意書の内容に基づき家庭裁判所が審判をするという「調停に代わる審判」ないしは「合意に代わる審判」を申し立てる方法もあります。ただ、審判の形をとることを含め、日本での離婚が、外国で有効な離婚と認められるか、その方法や条件については、事前に当該国の弁護士や関係当局(ウェブサイトを含む)、文献等で確認することが必要です。

 

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