2021/11/23離婚・親権
国際離婚と国際裁判管轄
1,国際離婚のタイプ
国際離婚のご相談、ご依頼としては、次のタイプがあります。
(1)日本に居住する日本人と外国人の夫婦が日本で離婚をしたい。
(2)日本に居住する外国人同士の夫婦(夫婦が同じ国籍の場合、異なる国籍の場合)が日本で離婚をしたい。
(3)外国に居住する日本人と外国人が日本で離婚をしたい。
(4)日本に居住する日本人が、外国に居住する相手方から外国で離婚訴訟を提起されてしまった場合の対応。
(5)外国に居住する日本人と外国人の夫婦あるいは日本人同士の夫婦が、外国の裁判所で離婚判決を得た、あるいは外国で適法な離婚手続をした場合の日本における効力はどうなるのか。
(6)日本に居住する日本人配偶者から、勝手に協議離婚届を市区町村役場に提出され、受理されてしまった。
2,離婚事件の国際裁判籍の基準
これらの国際離婚が問題となる場合に、日本あるいは当該外国の裁判所に国際裁判管轄があるかどうかを検討しなければなりません。国際裁判籍とは、その国の裁判所に当該渉外事件について裁判をする権限があることを言います。
平成30年4月に改正された人事訴訟法第3条の2は国際離婚の場合、次の場合は、日本の裁判所に管轄権があると定めています。
①被告の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には,居所)が日本国内にあるとき(人事訴訟法第3条の2第1号)
②その夫婦が共に日本の国籍を有するとき(同条第5号)
③その夫婦の最後の共通の住所が日本国内にあり,かつ,原告の住所が日本国内にあるとき(同条第6号)
④原告の住所が日本国内にあり,かつ,被告が行方不明であるときなど,日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り,又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があるとき(同条第7号)
つまり、夫婦がいずれも日本人である場合は、外国に居住している場合であっても、日本の家庭裁判所に離婚訴訟を提起することができます。
また、夫婦の一方が外国人であっても、被告が日本に住所がある場合は、原告が海外に居住していても、日本の家庭裁判所に離婚訴訟を提起することができます。実際に、日本在住の配偶者(多くは日本人)に対して、外国に居住する一方配偶者(多くは外国人)から離婚訴訟(ないし調停)を提起したいとの相談や依頼は複数あります。
一方、ご夫婦の中には、複数の国に居所を構えていることもあり、「住所」、「最後の共通の住所」の解釈などが問題になることがあります。