2021/11/23離婚・親権
離婚訴訟と調停前置主義
質問:離婚をしたいのですが、相手方は絶対に離婚をしない、調停にも出席しないと言っています。調停をせずに、裁判提起をすることはできますか?
回答:
離婚など家族に関する紛争は、原則として、訴えの提起の前に、家事調停を申し立てなければなりません(調停前置主義。家事事件手続法257条1項)。調停を得ずに訴訟提起しても、裁判所が職権で事件を「調停手続」に付します(家事事件手続法257条2項)。しかし相手方の一方の所在が不明である場合や紛争の内容や経緯から、明らかに調停成立の見込みがない場合は、「裁判所が事件を調停に付すことが相当でない」と判断し、訴訟を続行することもあります(家事事件手続法257条2項但書)。
当事者同士の話し合いで、「絶対に離婚しない。調停にも出席しない」と主張する配偶者はめずらしくありません。しかし実際に、裁判所から調停関係書類(「調停期日通知書」、「離婚調停申立書の写し」、「意見や事情の照会書(答弁書・回答書)」が届くと(家事事件手続法51条1項)、第1回期日から調停に応じることもありますし、第1回、第2回は欠席しても、裁判所からの連絡を受け、3回期日くらいから出席する場合もあります。
離婚など家族に関する紛争は、裁判手続になると、相互に非難の応酬となり、感情的対立が激化する傾向があります。子供の養育監護、面会交流など、離婚後も協力する場面がありますので、まずは調停申立をして、お話し合いで解決されることをお勧めします。